時効くる調書の揃ふ事務始
郡上竿磨く日和や魚は氷に
息潜む釣師に高き鷽の声
久に来し故山や母の土筆飯
春愁や包みし父の卒寿の手
廂借る諭吉生家や花の雨
鯛網祭煽る水軍太鼓かな
母島は海の底まで聖五月
立呑みの肩に神田の走り梅雨
草叩き舞ふを急かしぬ蛍狩
飯盒に湧かす雨水や薄雪草
灯を入れて生命吹き込む佞武多かな
鎌匂ふほどに研ぎたり野分晴
孤高なる嶺の尖りや今朝の冬
高杉家桂家訪へば松手入