一湾の平に明くる淑気かな
背山より高きに達磨村どんど
松過ぎの山門鳥の声頻り
茶畑に敷き藁厚く春を待つ
水口の音に力や菖蒲の芽
菖蒲田の色に染まれり山の風
羽搏きて雨とばす矮鶏茄子の花
定位置に翡翠の来て池緊る
天水に四万六千日の顔映す
放水のホースのたうつ大暑かな
阿夫利嶺の浮雲眺む案山子かな
流木に砂吹き溜まる秋の浜
一日を人と話さず冬の鵙
網焼きのするめ丸まる霜夜かな
寒の月揚げて一村慎ましき