草萌の大地を揺らす震度七
青菜飯炊くも津波が目に未だ
母よりの荷にお守りと花種と
三月の光の中に黙禱す
津波禍の校歌の松に鳥交る
除染終へプール開きとなりにけり
ふるさとに今年は螢もどり来し
無事の二字太く書きある夏見舞
捜索隊入る七月の請戸浜
街並の跡かたも無く灼けゐたり
避難袋未だ解かずに夏逝けり
津波禍の土台照らせり盆の月
八月逝く海より瓦礫引き上げて
津波禍の跡玫瑰の実となれり
母の家線量高き熟柿落つ
古市文子ふるいちふみこ
古市文子ふるいちふみこ
◆略歴 昭和63年「風」「春耕」入会。平成4年「春耕140号記念賞」受賞。平成23年「福島県文学賞俳句部門」正賞受賞。俳人協会会員。