山焼の虎刈のまま終はりけり
昼顔や海女の眠りの深かりき
道をしへ同じ処に出てきたり
百歳とお手玉をする敬老日
どんどの火背負ひて達磨転げ出る
釉薬の乾いて来たる涅槃西風
路地裏を先回りして山車を待つ
尺蠖に計られてゐる庭箒
大根蒔く土の湿りを確かめて
薬喰布袋の腹を撫でてをり
閻王の口の中まで煤払ひ
江の島を恵方と決めて橋渡る
社より幣を咥へて初燕
杣の子のむんずと蛇を摑みけり
花火果て闇の海辺に近づけり
髙島和子たかしまかずこ
髙島和子たかしまかずこ
◆略歴 平成10年「春耕」入会。鈴木大林子に師事。平成23年1月「春耕」同人。俳人協会会員。春耕鎌倉句会にて柚口満に師事。2020年11月退会