初蝶のためらふやうに止まりけり
残り鴨背に嘴を埋めしまま
翡翠の杭一本を寄辺とす
電柱の片陰に足る吾が身かな
指先をかすめし風や秋桜
行きあうて落葉踏む音譲り合ひ
冬の靄汽笛短き操車場
冬晴や名のみとなりし富士見坂