4月6日、国立・立川羽衣句会及び個人有志合同の吟行会が開催された。

 総勢21名は五日市線「武蔵引田」駅に集合。駅舎では燕が巣作りを開始。咲き初めた桜の巨木の上空を飛翔している。南方には多摩川を挟み「多摩横山の丘陵」を、西には「奥多摩の連山」を望む長閑な里山である。

 目指す先は多摩山系に端をなす平井川とその堤の桜並木。道中はうねうねとした畑の中の一本道。両側は野草を始め農野菜、果樹の真っ白な花、耕作中の土の匂い等句作の題材は豊富。山峡の土手の桜は開花が遅れがちで未だ三分咲き。桜祭りの提灯ばかりが目につく。

 暖かな日差しの河原で昼食後国立句会員の鈴木幾子氏の御好意で八幡神社の広間で句会。新人、同人それぞれ互いに披講し合い有意義な一時を過ごした。(報告 梅澤忍)

当日句より
休め田をかこむ棒杭蝶の昼生江通子
初蝶の風と戯むる川澄めり塚本清
両の手を鍬に耕人話し出す浅野文男
浮雲に多摩連山の霞みけり伊藤宏亮
単線の駅舎を掠む初燕梅澤忍
吟行はいつもしんがり蕗のたう大原久子
あきる野の風にのらぼう花ひろぐ岡村實
人ら寄る野辺の明るさ花杏沖山吉和
鋤き返す土の匂ひや春の風菊地ひとし
大木の裾の日溜り韮の花木﨑七代
花三分せせらぎ渡る山の風小林啓子
稜線に色の浮き立つ花あんず小林博
初花やみたけ連山澄み渡る沢田ウメ子
ひと畠を埋め尽したる花なずな鈴木幾子
鳥交る多摩の山やま蒼もてり髙草久枝
刈り込みし朝の茶畑色深む塚本照子
なずな畑多摩の横山背に流行る成松和子
塩田の跡てふ川畔さくら咲く松谷富彦
野の畑やローカル線の風光る村田良一
桜東風遠くに見ゆる観覧車山田えつ子
連山に白き雲おき麦青む山田つき江