縫初や絹糸ピンと音立てて 雑木山空へ芽吹きの色重ね 新築の鑿音軽し春の昼 暮れてなほ空の明るし麦の秋 白神の橅より昇る雲の峰 羅の透けるクリスト銀の靴 時雨るるや軒を寄せ合ふ機屋路地 極月や月へ靴音尖りゆく
飯田千代子いいだちよこ
◆略歴 静岡県出身。平成 23年「春耕」日野中央句会入会。令和 4年「春耕」同人。