栗の花雨の兆しの風湧けり
五位鷺の身を細め立つ朝の池
土用波奥に秘めたる音放つ
寄席囃子乾く音して梅雨明ける
げんげ田に下りる一歩のやはらかし
接木終へ薔薇にしづかな今朝の雨
雨粒の残りしままに白牡丹
蓑虫の蓑やはらかく閉ざしけり
一筋の流れとなりし残り雪
一本の道に影置く谷若葉
啓蟄の地に火渡りの浄め塩
ゆつくりと目を閉づ亀や柳の芽
夏立つや牧舎に届く塩叺
膝ついて節分草を撮りにけり
杉玉に残る緑や春時雨
大細正子おおぼそまさこ
大細正子おおぼそまさこ
◆略歴 平成15年「春耕」入会。平成24年「春耕」同人。俳人協会会員。日野中央句会、赤堤句会、羽村句会所属。