団栗の独楽の土俵は卓の盆
能面の木彫りめでたる文化の日
鮟鱇の腹の値札や朝の市
虹色の泡の渚や初日影
風紋の砂州走りたる泡の花
阿武隈の夕風荒ぶ軒大根
流木を組む白鳥の餌置場
鹿尾菜干す入江の風の砂利の浜
鳴き砂の戻りし浜や朝曇
葉桜や脂の噴き出す津波傷
苦瓜の蔓の力みや仮設小屋
夕立去る瓦礫の山に湯気たてて
土産には智恵子の切絵夏涼し
いろいろのことを何から盆の墓
新涼やあうむにすきといはれたる
天野和風あまのわふう
天野和風あまのわふう
◆略歴 昭和56年 「春耕」入会 皆川盤水に師事 昭和56年 「風」入会 沢木欣一 細見綾子に師事 昭和59年 春耕同人 昭和61年 風同人 平成7年 福島県俳人協会理事 2020年4月退会