牡丹に日光月光菩薩かな
風拾ひ風を流して風の盆
藻塩汲む径は全き花野中
爽やかに江戸つ子と生き召されけり
あぢさゐや空も近江の水ぐもり
子規のこと漱石のこと温め酒
菜の花忌夫の遺せし蔵書かな
海鞘食べてみちのく人に囃さるる
更衣照る日曇る日てふ紋様
月明に舞ひ出よ越前竹人形
空海の山深深と秋の声
はなびら餅余生とはいつよりのこと
縦横に破船積む浜青葉潮
飛花落花静の舞の早鼓
白朮火に闇動き出す東山
石鍋みさ代いしなべみさよ
石鍋みさ代いしなべみさよ
◆略歴 昭和52年俳句を始める。昭和54年「春耕」入会。皆川盤水に師事。後、棚山波朗主宰の指導を受け今日に至る。春耕同人。俳人協会会員。句集『木綿注連』2022年1月26日退会