立春大吉傘寿の母の金糸帯
紙切れのざらつく音や納税期
炙り子に伏せる作務衣や春霙
糸遊や室の八嶋の水明り
黒南風やへしこ樽据う朝市女
縁先に母の野良着や半夏雨
結願や紅あぢさゐの風こぼる
夏休み座敷童子が友となり
瓦斯灯の点る運河の霧笛かな
学僧のこぼしてゆけり萩の露
埋火を搔く夜通しの牛の番
鷹匠の腕高々と鷹を待つ
寒立馬日の入る草に歩を運ぶ
冬紅葉残る光を放ちけり
哀しみが手元に灯る聖夜かな
島貫和子しまぬきかずこ
島貫和子しまぬきかずこ
◆略歴 平成5年松川洋酔に師事。平成8年春耕市ヶ谷句会入会。平成9年「春耕」入会。平成13年春耕白山句会(神保町句会)入会。平成23年「春耕」同人。平成26年春耕洋酔俳句会(津之守坂句会)入会。令和4年12月退会