桃の里「山盧」吟行記 高尾句会 菱山郁朗
好天に恵まれ、桜も桃も満開の4月7日、高尾句会は、蟇目良雨主宰の御参加も頂き、山梨県笛吹市の蛇笏・龍太所縁の「山盧」を訪ね、吟行した。高尾句会を育て上げ、先月亡くなられた奈良英子先生の御長女児玉真知子さんにも参加して頂いた。
午前8時過ぎ西八王子をマイクロバスで出発、先ず桃畑の中の蛇笏・龍太の墓を訪ねて、野の花を供え、手を合わせた。畑野には菫や蒲公英が咲き、土筆も顔を出している。桃畑は一面ピンクに染まり、桜も満開の絶好のお花見日和である。
山盧博物館では3代目の秀實さんから資料を頂き、いろいろ説明を受ける。「月光の志みる家郷に冬の霧」など蛇笏の句が並んでいる。隣の生家には囲炉裏があり、写真や筆入れなど遺品が残されている。文机の上の俳誌が目に留まった。小高い丘の「後山」の東屋で、春雷を聞きながら昼食を摂った。丘を登ると野原があり、雪を冠った八ヶ岳や南アルプスが眺望出来る大パノラマが広がる。
「山盧」を後にし、蛇笏・龍太の学び舎「境川小学校」を訪ね、齋藤校長から由緒ある学校の説明を受ける。入口に龍太の句「どの子にも涼しく風の吹く日かな」があった。バスは花の寺「放光寺」へ。大日如来像などを見学、阿吽像の脇に咲く枝垂れ桜が眩しい。信玄所縁の「恵林寺」も訪ねる。春風にはためく武者幟が池に映えて美しかった。
帰りのバスが出発するやいよいよ句会だ。1人2句を投句し、短冊を回し読みしながら2句を選句、乱れ文字を読む披講も選句も慌ただしかった。蟇目主宰にも、選句の上適切な御講評を頂いた。バスは予定通り仄暗い夕方の6時前に帰着、春爛漫を満喫し、楽しく充実した吟行は、無事終了、笑顔で「お疲れ様!」の挨拶を交わし、散会した。
◆当日句より
山寺や飛花のとび込む阿形像良雨
白無垢の袖をひろげて糸ざくら良雨
もてなしは後山に盛る桃の花真知子
春惜しむ山廬の書斎覗きもしまさこ
参道に武田軍旗や飛花落花美保
咲きぶりをしかと見届け桃受粉千枝子
艶やかや山盧の庭の落ち椿郁朗
春深し無念無想の佛たち旅人
春雷も山廬後山の風趣とす克子
見はるかす白根三山花曇富子
桃桜もも桃さくら放光寺多岐兵衛
おむすびに花吹雪舞ふ狐亭三智子
椿落つ蛇笏龍太の石畳敏子
東西に雲切り分ける春の雷香代子
花冷や龍太の卓に一俳誌照子
のどけしや蛇笏の墓碑の字のまろききくゑ
蛇行して笛吹川の春ひかる和子
山廬への畑の小道桃の花佳世子
花吹雪靴の先までビンク色延子
バス降りて踏まぬやうにと和蒲公英秀子
残雪の八ヶ岳を遠見の龍太墓碑美智子
午前8時過ぎ西八王子をマイクロバスで出発、先ず桃畑の中の蛇笏・龍太の墓を訪ねて、野の花を供え、手を合わせた。畑野には菫や蒲公英が咲き、土筆も顔を出している。桃畑は一面ピンクに染まり、桜も満開の絶好のお花見日和である。
山盧博物館では3代目の秀實さんから資料を頂き、いろいろ説明を受ける。「月光の志みる家郷に冬の霧」など蛇笏の句が並んでいる。隣の生家には囲炉裏があり、写真や筆入れなど遺品が残されている。文机の上の俳誌が目に留まった。小高い丘の「後山」の東屋で、春雷を聞きながら昼食を摂った。丘を登ると野原があり、雪を冠った八ヶ岳や南アルプスが眺望出来る大パノラマが広がる。
「山盧」を後にし、蛇笏・龍太の学び舎「境川小学校」を訪ね、齋藤校長から由緒ある学校の説明を受ける。入口に龍太の句「どの子にも涼しく風の吹く日かな」があった。バスは花の寺「放光寺」へ。大日如来像などを見学、阿吽像の脇に咲く枝垂れ桜が眩しい。信玄所縁の「恵林寺」も訪ねる。春風にはためく武者幟が池に映えて美しかった。
帰りのバスが出発するやいよいよ句会だ。1人2句を投句し、短冊を回し読みしながら2句を選句、乱れ文字を読む披講も選句も慌ただしかった。蟇目主宰にも、選句の上適切な御講評を頂いた。バスは予定通り仄暗い夕方の6時前に帰着、春爛漫を満喫し、楽しく充実した吟行は、無事終了、笑顔で「お疲れ様!」の挨拶を交わし、散会した。
◆当日句より
山寺や飛花のとび込む阿形像良雨
白無垢の袖をひろげて糸ざくら良雨
もてなしは後山に盛る桃の花真知子
春惜しむ山廬の書斎覗きもしまさこ
参道に武田軍旗や飛花落花美保
咲きぶりをしかと見届け桃受粉千枝子
艶やかや山盧の庭の落ち椿郁朗
春深し無念無想の佛たち旅人
春雷も山廬後山の風趣とす克子
見はるかす白根三山花曇富子
桃桜もも桃さくら放光寺多岐兵衛
おむすびに花吹雪舞ふ狐亭三智子
椿落つ蛇笏龍太の石畳敏子
東西に雲切り分ける春の雷香代子
花冷や龍太の卓に一俳誌照子
のどけしや蛇笏の墓碑の字のまろききくゑ
蛇行して笛吹川の春ひかる和子
山廬への畑の小道桃の花佳世子
花吹雪靴の先までビンク色延子
バス降りて踏まぬやうにと和蒲公英秀子
残雪の八ヶ岳を遠見の龍太墓碑美智子