9月29日、都営地下鉄森下駅に集合、先ず芭蕉記念館へ向かう。記念館の庭を抜けると隅田川沿いの遊歩道に出る。右手に秋色の濃い隅田川、左の防潮塀際の花木槿などを愉しみつつ行くと、小名木川との合流点に、隅田川を見下ろす作りの展望庭園に蕉翁像がある。
どこからか金木犀の香が漂ってくる。展望庭園を降りて裏通りを歩くと赤鳥居に幟の林立する芭蕉稲荷(芭蕉旧居跡と言われる)、船番所跡などあり芭蕉の影を追うことが出来た。
萬年橋を経て清洲橋通りを渡ると、三菱創始者岩崎弥太郎が作った清澄庭園に至る。庭石の美しさで有名だが、ここにも「古池や」の芭蕉句碑がある。この後、句会場の記念館へ戻る一行と、さらに深川の町を散策する一行の二手に分かれる。
散策組は深川名物あさり飯、佃煮屋など下町の雰囲気に浸りながら深川江戸資料館通りを見物し、さらに仙台堀川の芭蕉旅立ちの像まで足を伸ばした。
句会場の芭蕉記念館内には芭蕉の歩いた道と、そこでの主な作句を表した大地図や遺愛の石蛙他の資料の展示があり芭蕉の全体像を知ることが出きる。
吟行は常に楽しい。新しい出会いがあり、新しい学びがある。街も風景も訪れる度に表情が変わる。明日の作句につなげたい。(報告 大原久子)
当日句より
秋蝶の翅休めたる翁像實
萩乱る花屑をなほ重ねつつ吉和
芭蕉像川をみつむる秋ぐもりあきを
そこここに芭蕉の影や菊日和閏江
深川に江戸の故智訪ふ九月尽啓子
秋の日や橋から見ゆる橋いくつ昭二
鎮座せる石の蛙や秋の風久子
秋陽射波のたゆたふ小名木川洋子
色変へぬ松名園の句碑に佇つよう子
芭蕉像愛づるが如き萩の花淑子