新春恒例の放鷹術の実演が浜離宮庭園内で行われた。多摩地区の有志13名は1月3日(水) この催しを吟行会として計画。参加者は午前10時半同庭園入口に集合。実演は11時開始。その間、これも恒例の「合気道」の実技披露が行われており各自見学。

 放鷹術は野外スポーツとして貴人に好まれ、古くは仁徳、一条などの諸天皇や家持、家康など熱心な愛好者の支援があったが、戦後は諸般の事情により政府による鷹狩は行われなくなり放鷹術は民間の有志に受け継がれ今日に至っているとのこと。
 今回の実演は鷹匠の拳から別の鷹匠の拳へ、また会場より選ばれた一般の人から人への鷹の「振替と据替」。樹上にいる鷹を呼び戻す「渡り」。実猟に向けた鳩の捕獲「振り鳩」。高層ビル屋上から鷹を庭園内へ急降下させる実技など。面白かったのは選ばれた観客の感想で、「身近に見る鷹はかわいい。目が澄んでいてやさしい」との事。またビル屋上からの放鷹では、鷹の領空侵犯を警戒する鳶が三十羽近く辺りを旋回開始。更に二度目はどこから現れたのか鴉が五十羽近く鳴き叫び、急降下する鷹を追尾。さすが猛禽と呼ばれる鷹もこのスクランブルには一気に降下できず最寄りの林に逃げ込み、鷹匠の呼子に何とか地上の拳に駆け込んでくる有様。自然の厳しさを肌で体感できた心地がした。実演は約1時間で終了。

 この後、離宮庭園より隅田川を遡上。浅草へ初詣クルーズ。正月三が日の浅草寺は参拝客でごった返し本堂近くに寄ることもかなわず、遥か遠くから参拝。何処も大混雑の浅草で遅い昼食を済ませ現地解散した。伝統行事や江戸の名残の濃く残る各地を吟行し、参加者全員充実した新春を満喫した。           (報告 梅澤忍)

当日句
白梅の一輪香る離宮かな階子
放鷹や生き餌の鳩の和毛散る美保
勝鬨橋くぐり三日の潮匂ふ美智子
放鷹に離宮の空の騒立てりまさこ
放鷹の鈴の音空を広げけり文男
若鷹の鋭声に離宮緊迫す 
振り鳩に高まりてゆく鷹の士気志朴
放鷹の空にあふるる鳶の群あきを
鷹の目に静かにけぶる野性の火ひとし
宙に鳴る呼子鋭く鷹戻る 
淑気満つ三百年の松ゆたか 
鷹狩の鷹を追ひ詰む鳶の群れ富彦
鷹和む匠の腕に戻り来て