4月8日は、羽村句会の定例日です。丁度花祭の日と重なり、午前中花祭のお寺を吟行することになりました。あきる野市の東秋留地区のお寺では「花まつりオリエンテンプリング」と銘打って八つのお寺巡りの催しがあり今年が30回目だそうです。今回は、その中のJR東秋留駅付近の三つのお寺としました。朝の小雨もあがり曇り空ながら午前10時吟行開始です。

 一番目の普門寺は駅のすぐそばで、本堂の前に二本の見事な桜がありました。枝垂桜はまだ五分咲きですが、染井吉野は満開に近く、さすが花の寺といった感を受けました。

 花御堂の屋根は主に椿の花で葺かれていました。お参りの後お釈迦様に甘茶をそそぎ、甘茶をご馳走になりました。

 次に訪れたのは玉泉寺です。天水には摘みとられた花が浮かべられ、花祭にふさわしい風景でした。花御堂には一面花が葺かれ、お釈迦様がなお小さく見えました。境内に地元の方の手造り品が売られ賑わっていました。

 最後に訪れたのは広済寺です。山門を入ると大きな樹々が目に留まり、お寺全体として古風で静かな雰囲気を醸し出していました。本堂の前の庭の枝垂桜はほぼ満開でした。

 三つのお寺を巡りましたが、甘茶はお寺ごとに少しずつ味が違っていて、参拝者に大好評でした。また、どのお寺も境内がきれいに整えられ、花祭の雰囲気が溢れていました。

 お寺では地域の人々が接待や案内役を引き受けお寺との交流の深さが窺えました。

 2時間の中で、美しい桜のもとお釈迦様の誕生を祝い花祭の行事に触れ楽しい吟行ができました。次回の吟行を楽しみに、句会場の羽村市の「ゆとろぎ」へ急ぎました。(報告 野尻瑞枝)

当日句より

甘茶くむ持ち手の剝げし竹柄杓通子
嫋やかな甍の反りや糸ざくら八起
咲き満ちて御堂を隠す桜かな功一郎
走り根に貼り付き咲ける桜かな正子
天水に摘み花あふる甘茶寺 
しだれつつ色降りそそぐ糸ざくら幾子
田の道の短き土橋水ぬるむ和敏
窪みにも光さざめく春の野辺清美
寺山の木々の鼓動や百千鳥千代子
静けさや大樹の多き甘茶寺邦江
里人の出店にぎはふ仏生会瑞枝