コロナ禍で外出自粛が続く中、11月8日(日)高尾句会の有志で紅葉を迎えた裏高尾を吟行した。午前9時半、例年ならごった返す高尾駅に10人が集合、「三密」を避けて南浅川沿いを歩く。生垣の空蟬、野葡萄、案山子、残り柿等秋の名残の句材が溢れている。滝音を背にしばらく行くと、草花を鉢植えする「盆景」を飾った家があり、奥様が、『大文字草』や『キイイトラッキョ』など知らない草花を親切に解説してくれた。
 「歯の神様」で知られる白山(歯苦散)神社には餌箱が備えられ、山雀が次々と飛んで来る。清流の川原にはその昔処刑場があったと言う。親子象が並び立つ金南寺の大師像の袂に咲く石蕗の花が鮮やかだ。中央線の陸橋を渡ると階段上に神明神社があり、いかにも古い。柚子がたわわに実っている。ようやく駒木野庭園に着いて昼食。青空と黄金色の大銀杏、竹林の緑、錦木の紅葉のコントラストが美しい。
  川沿いの道に戻る。レトロな役場跡を過ぎれば句会場の浅川市民センターだ。対面式ではなく教室の授業風景だが、十か月ぶりの平常な形での句会。皆で沢山の句と大きな声を出し合った。「コロナに勝つ!」を合言葉に久しぶりの楽しい吟行となった。「報告 菱山郁郎」

裏高尾金南寺

 当日句より
からす瓜刑場跡を灯しけりまさこ
降り重ぬ落葉の径の坂がかる和世
川縁に誰が並べしか鬼胡桃 
屋敷墓護る案山子の阿弥陀帽照子
見つけては数の増えゆく烏瓜克子
御神木搦めとらんと蔦紅葉岷子
街道の銀杏黄葉の盛り今香代子
堰超ゆるときのみ激し冬の川多岐兵衛
菊供ふ地蔵の肩の傾かな郁朗
蔦に足とられて転ぶ枯野径美智子