新型コロナウイルス感染症が収束に向かいつつある、5月27日(土)、高尾句会は総勢10名で東京都小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」を吟行した。JR八王子駅に9時半に集合、中央線に乗り武蔵小金井駅で下車、バスで8分程揺られて到着した。公園内は万緑の真っ只中で、そよ吹く風が清々しい。時折の小鳥の声が更に癒しを与えてくれていた。

高尾句会

高橋是清邸

「江戸東京たてもの園」は現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、貴重な文化遺産として次代に継承することを目的としている。青梅市にあった茅葺屋根の家、日本の近代建築の発展に貢献した前川國男邸、ドイツ人建築家デ・ララン邸、そして二・二六事件の現場となった高橋是清邸など約30の建造物がテーマごとに建ち並んでいてどれも趣深い。
 句会は、小金井公園の正門口を出て、玉川上水にかかる陣屋橋を渡ってすぐのところにある、こぢんまりとしたカフェを借り切って行われた。句会場のカフェまでは、正門からわずか3分くらいのところだが、陣屋橋から下を見下ろすと、大きな鯉が餌をもらえると思ってか、口を開けて群がっていたり、どこからか老鶯の鳴き声がしたりと、風情豊かなところであった。カフェ内は座席が10席ほどで、私達の人数にピッタリであった。カフェ内にも老鶯の鳴き声が聞こえていて、何とも言えない豊かな時間が流れていた。    (報告 三瓶三智子)

当日句より
うまごやし縄文住居の裾おほふまさこ
藍染に真白の屋号夏のれん美智子
緑さす是清邸の釘隠し和世
煙草屋の腰板タイル薄暑光
幕末のつるべ井戸ある夏木立照子
青嵐黄色の都電走り出す克子
古樋に夏草生ゆる伊達の門郁朗
茂りより水音きよき是清邸
かなぶんにペン先とられ句帳かな和子
万緑や西洋館の赤き屋根三智子