翡翠の影置き去りに飛び立てり 木崎七代
白牡丹影も大きく咲きにけり 木曾令子
鷽替へて少し身軽くなりにけり 木村てる代
ポケットに古砥部陶片水ぬるむ 草地たみこ
少しならと酒許されて初鰹 久保木恒雄
狂言師秋の扇をのみほせり 窪田 明
昼月の宇陀の丘辺のかぎろへる 窪田季男
比良八荒の雨粒粗く打ちはじむ 久保田順子
母ほどは鳴らぬほほづき母癒えよ 倉林美保
武者振りの樟の大樹や青葉風 黒田幸子
団栗の独楽の斜めに走りけり 小池伴緒
灯籠の父の名ゆらぎつつ流る 小池浩江