山晴忌「ぼるが」は夕の火を熾す 蟇目良雨
玉虫を拾ひて故郷を離れけり 久重凛子
鴨引いて鏡のごとき山の池 平賀寛子
ふるさとは昔のままや鰯雲 平向邦江
夏満月城址に響く沙翁劇 広瀬元
藤房に触れて夫なきこと忘ず 深川知子
見下ろして見上げてさくらさくらかな 深沢伊都子
日溜りの草を離さぬ枯蟷螂 福田初枝
玉解く芭蕉芋銭旧居の庭にかな 福田町子
雪折の音のひびくや永平寺 藤武由美子
大鳥居残し引きゆく青葉潮 藤田壽穂
蓮の実の飛んで花托のがらんどう 藤山多賀子