花ミモザ遺作の壺を溢れしむ 大原久子
ゆつくりと目を閉づ亀や柳の芽 大畑正子
子規庵の日差しの縁や鶉籠 大溝妙子
語り部と歩く小辺路の初音かな 岡島清美
ふくらます紙風船に薬の香 岡本明美
モンブランのペン先なじむ鷗外忌 岡村實
田植機のリズム良き音里日和 岡村美恵子
宙を切る足裏涼しき越後獅子 岡村優子
若葉風女工哀史の峠道 沖山吉和
せせらぎの小石煌めき山笑ふ 尾崎雅子
御仏は青き螺髪や沙羅の花 尾碕三美
初蟬やにはかに強き日の光 小田絵津子