白鳥来田の一枚の的皪と 大胡芳子
かなしびを手放すやうに辛夷咲く 弾塚直子
夕遍路己が境涯笈に秘め 谷本清流
校正の点訳句集春近し 髙鴨良子
百歳とお手玉をする敬老日 髙島和子
新走り供へてありぬ一草庵 高市幸子
さらさらと米搗く音の納屋涼し 髙井美智子
したたりや木の間に瀬田の水明り 高野清風
地に還る木の葉に夕日やはらかし パソコンの立ち上がりたる春の宵 げんげ咲き妻これからは親友に 水牛に聞かす舟唄仏桑花 舫ひ綱解けば散り来る桜かな 猫にものいひつつ女烏賊を干す 冬鷗円を描きて円を出ず 山里の犬に吠えらる四 …
玉電の曳く風やさし草の花 高橋栄
えんぶりの擦り堅めたる雪の艶 髙橋千恵
あらたまの風引き締まる山河かな 髙橋喜子