立春大吉傘寿の母の金糸帯 島貫和子
正造の奔走の道麦芽ぐむ 島村真子
父の日や一日中を父とをり 島村若子
良寛のまり歌の十御滅灯 清水伊代乃
梵鐘の音吸はれゆく若葉雨 清水恵子
夏雲や湖畔の椅子に眠る人 正田きみ子
天平の屋根をころがり恋雀 実川恵子
山茶花や時打つ鐘の雲巌寺 菅原庄山子
喜寿迎へ初金毘羅の駕籠に乗る 杉江茂義
堰落つる痩せし水音秋深む 杉原功一郎
水鳥の胸で押しゆく夕日かな 杉阪大和
井戸水を使ふ暮しや朝ざくら 鈴木幾子