シスターの指の包帯受難節 八木岡博江
鎌匂ふほどに研ぎたり野分晴 安原敬裕
三月の海穏やかにしたたかに 柳堀里枝
黙禱す桜吹雪を浴びながら 山岸美代子
床下を北風吹きさらす能舞台 山城やえ
湧き立ちて浮雲となる花辛夷 山田えつ子
初蝶のためらふやうに止まりけり 山田高司
月山に生まれたてなる雲の峰 山田春生
バリバリとドクターヘリ発つ春の夕 山本松枝
櫨紅葉蔵王の青きお釜かな ゆうきとみこ
雁来紅淡海は藍を深むらむ 柚口 満
津波禍の土台に小さき紙幟 吉田初江