万緑や底ひより生る水の音 伊藤洋
葉桜や当直明けの缶コーヒー 伊藤克子
おもひやる心たれにも初桜 池内けい吾
み仏の相乗りで来る瓜の馬 池野よしえ
秋冷の波の輝き浮灯台 市川春枝
友禅の上を紅葉の流れけり 乾佐知子
雪霏々と杉山深き貴船道 井水貞子
初御空欅は網をひろげたり 岩田諒
白子干す漁師の妻に日の豊か 岩永節子
青甘蔗の中に散らばる民家かな 岩山有馬
蔵王嶺の朝靄晴るるさくらんぼ 宇井千恵子
眼に力こめセシウムの春子捨つ 植木緑愁