招福の舞の涼しき足拍子 中川晴美
国仲や朱鷺のかがよふ初景色 仲川康子
塩羊羹厚切りにして漱石忌 中島真理
干拓地菱喰の棹鹿島立つ 中嶋美貴子
神宿る榊をぬらす能登しぐれ 中島八起
深吉野の雪しんしんと降り積みぬ 中谷恵美子
啐啄のかすかな音や春動く 仲間文子
諦めの果ての草笛音立てり 中浜由志美
晩学の鉛筆2B小鳥来る 鍋島こと
父の色母の色ある毛糸玉 生江通子
気負はずに生きるときめて青き踏む 奈良英子
春立つや沖のさざ波ふくれくる 長井ヒサ子