蟇目良雨 主宰 作品

苦うるか
苦うるか布衣の一世をいとほしむ
自然薯を日に日に擂りて鰥夫かな
瓢簞や妻のくびれにもう会へず
干大根の下にたづきの出入口
古書街にちやうちん釣瓶落しかな
「おしんの世」まだあり継子の尻ぬぐひ
けふの色塗り重ねたる柿紅葉く
年上の妻の好みし猫じやらし
中也忌や夕日に投げるブーメラン
十六夜の月の着てゐる生絹かな
にぎやかに破り障子を貼り替へる
後の更衣全き富士を遠く見て