春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

俳句時事

俳句時事(176) 作句の現場「鷹柱」2016年12月号

渥美半島の伊良湖岬と言えば、先ず思い出されるのが芭蕉の鷹の句である。    鷹一つ見付けてうれし伊良古崎  芭蕉芭蕉の鷹の碑は国道沿いにある。大きな岩に被さるように藪椿が枝を伸ばしていた。岬の方を見るとすでに日は傾き、鷹の姿は見当たらなかった。

俳句時事(175) 作句の現場「深秋の高麗郡」2016年11月号

 高麗郡は埼玉県日高町から飯能市にかけての丘陵一帯で、かつて朝鮮から渡来した高麗人が開拓した土地だと伝えられている。7世紀半ば、百済と高句麗が新羅によって滅ぼされたため、数千人が日本に亡命した。その多くは武蔵野に移住し、先に渡来していた高麗王若光によって統治されたと言う。

俳句時事(174) 作句の現場「月山登山」2016年10月号

私はこれまでに月山へ3度登っているが、3度とも好天に恵まれた。約百種もあると言われる 高山植物に直接触れ、頂上からの雄大な景観に見惚れるなど、夏山の醍醐味を大いに楽しむことが出来た。8合目から歩き始めて4時間近くかけてようやく頂上に辿り着いた。一説には芭蕉は湯殿山を参拝した後再び戻ったとあるが、その体力と精神力には驚くばかりである。

俳句時事(173) 作句の現場「初夏の佐渡」2016年9月号

初夏の佐渡には見るべきものが多い。それは佐渡特有の自然と、そこに根付いた伝統行事・文化が連綿と受け継がれていると言うことである。 佐渡と言えば誰もが思い浮かべるのが「朱鷺」である。朱鷺は一時絶滅が危ぶまれたが、その後中国から譲り受けるなどして人工飼育に成功した。「トキ保護センター」の話では、現在施設で飼育しているのは193羽、野外で育っているのが163羽と言うことである。

俳句時事(172) 作句の現場「那智火祭」2016年8月号

那智火祭は那智大社の例大祭の一つで、毎年七月十四日に行われている。もとは那智の滝にあった社が那智山中腹に新しく造営されるとともに、神々を神輿で移した神事から始まったものと伝えられている。 ーでの朱鷺は数年前に見たが、野外での朱鷺 は初めてであった。

俳句時事(171) 作句の現場「花田植」2016年7月号

「花田植」は広島県北広島町に伝わる田植行事で、その起源は室町時代に遡ると伝えられている。飾りたてた牛が田を搔き、早乙女が田楽に合わせて田植歌を唄いながら苗を植える。のどかな初夏の田園にくり広げられる一大絵巻で、既にユネスコの文化遺産に指定されている。

俳句時事(170) 作句の現場 「山葵の花」2016年6月号

山葵の花は夏の季語だが、実際に咲き出すのは三月の終り頃からである。春の寒さの残る山裾や渓流に開いた四弁の花は、いかにも清々しい。  山葵の学名は、Wasabia・Japonicaという日本名を持つ日本独特のspiceである。この野生の山葵は古くから海外でも上流社会の人に香辛料として珍重されて来たようだ。

俳句時事(169) 作句の現場「蜃気楼」2016年5月号

富山湾の蜃気楼もそのうちの一つ。毎年三月から六月にかけて発生するが、実際に目にすることは難しい。私の長年の念願がようやく叶ったのは数年前の春の連休が終る頃だった。その日の気温はそれほど暑くも寒くもなく、時折弱い風が吹くさわやかな日和であった。

俳句時事(168) 作句の現場「河津桜」と「吊し雛」2016年4月号

寒さのまだ残るこの時期に伊豆で知られるもう一つのイベントが稲取の「雛の吊し飾」である。稲取駅から歩いて十二、三分のところに雛の館と呼ばれる「むかい庵」がある。 ここでは雛の「段飾り」を中心に多くの「吊し雛」が飾られている。

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