春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

日本酒のこと

「日本酒のこと」(36) 2023年12月号

日本酒が我が国の文化伝統の重要な一翼を担っていることは当然のこととして、私が執筆に際して心掛けたことの第一は、昨今の日本酒離れの大きな原因である日本酒に関する誤解や偏見を正すとともに、日本酒の急速な進化についての正しい知識と情報を提供することです。その二は、日本酒造りの環境が杜氏の多様化や清酒酵母菌の開発競争等の技術革新により大きく変化している実情を知ってもらうことです。その三は、日本酒の種類の多様性と同時に飲み方や味わい方も多様であることを認識してもらい、一人でも多くの方に日本酒ファンになってもらうことです。

「日本酒のこと」(35) 2023年11月号

日本酒は、稲作文化とともに古来より我が国の生活に深く根差した国酒です。それだけに日本酒にまつわる季語は実に多彩であり、春の「花見酒」、夏の「冷酒」、秋の「月見酒」「紅葉酒」「温め酒」、冬の「杜氏来る」「寒造」「雪見酒」「燗酒」等があります。

「日本酒のこと」(34) 2023年10月号

日本酒とは「麴菌の作用で糖化した蒸米を、清酒酵母菌の力で発酵したアルコール飲料」のことです。わが国でもアルコール飲料の元祖はワインのように果実が自然に発酵したものであり、日本酒の祖先であるお米を使用したお酒が登場するのは、稲作文化が展開する縄文から弥生時代の頃と言われています。

「日本酒のこと」(33) 2023年9月号

日本酒が海外の世界各国で大きな関心を呼び、日本の酒蔵も海外市場の開拓に力を入れているとのニュースを耳にする機会が増えてきました。現に、日本酒の海外への輸出は年々盛んになっており、最近では数量ベースで対前年を50%も上回る勢いで増加してきています。

「日本酒のこと」(32) 2023年8月号

日本酒はギンギンに冷えたものから超熱燗に至るまで大変に幅広い温度帯で楽しめるという、ワインやウイスキー等の他のお酒にはない特徴があります。また、瓶のままではなく他の容器に移し替えて飲むことも日本酒ならではのことです。そして、我が国には陶磁器をはじめ漆器や硝子、錫等の伝統工芸の粋が生活の隅々にまで普及し定着しており、その器と日本酒は持ちつ持たれつの関係で発展してきました。

「日本酒のこと」(31) 2023年7月号

日本酒のラベルには、前回申し上げたように表示義務のある必要記載事項と任意記載事項があり、日本酒ファンが期待するのは酒蔵がアピールする情報が表示されている任意記載事項です。その中で我々が最も目にするのは、「特定名称酒」に該当する「大吟醸」「吟醸」「純米酒」「本醸造」等の表示であり、「この酒は高級ですよ」とグレードの低い「普通酒」との差別化を目的としたものです。

「日本酒のこと」(30) 2023年6月号

日本酒の瓶には、表側に「多摩自慢」や「賀茂鶴」といった銘柄等を印刷した胴ラベルが、そして裏側には原材料名やアルコール分等を細々と記した裏ラベルが貼ってあります。なかには胴ラベルに全てを記載している場合があります。このラベルに記載された情報は、我々が酒販店等で自分好みの一本を選ぶ際の大きな判断材料を与えてくれるものです。

「日本酒のこと」(29) 2023年5月号

日本酒文化を酒蔵と二人三脚で支えているのが酒販店です。この酒販店を営むには、消費者への酒税の適切な転嫁等の観点から国税庁の免許が必要となります。そして、その酒販店の免許に際しては、20年少し前までは酒販店が過当競争で共倒れしないように、一店舗あたりの人口規模や隣接店との距離等について厳しい参入規制があったのです。

「日本酒のこと」(28) 2023年4月号

葡萄から醸すワインは、葡萄そのものに水分、糖分と酵母菌が含まれているため、葡萄を潰してタンクに入れるだけで自然に発酵します。その一方で、日本酒の場合は、米自体に糖分や酵母菌が含まれている訳ではないので、麴菌でお米を糖化した上で酵母菌を加えて発酵させる必要があることは、これまで何度も述べてきたところです。

「日本酒のこと」(27) 2023年3月号

俳句の歳時記の「古酒」とは、新茶に対する古茶と同じように新酒が出回る前に搾られたお酒のことです。一方、日本酒の世界では歳時記と異なり「酒造年度=BY(Brewery Year)」という概念があります。毎年7月1日から翌年の6月30日までを酒造年度としており、BY4とは令和4年7月から令和5年6月までの間に製造された日本酒のことであり、BY3はその前年度のお酒、つまり古酒であることを意味します。

「日本酒のこと」(26) 2023年2月号

海外での和食ブームと歩調を合わせて、日本酒の普及が徐々にですが着実に進展しています。そして、パリではフランス人が選ぶ日本酒コンテストが開催されています。純米酒や吟醸酒の他に発泡酒の部があり、昨年は山梨県北杜市の「七賢」が優勝しました。

「日本酒のこと」(25) 2023年1月号

日本酒は、ワインと同様に食事と一緒に呑む酒、つまり典型的な食中酒です。そこで、この欄においても日本酒と料理の相性について触れる必要がありますが、何分にも膨大なテーマであり、ここでは幾つかのポイントに絞って触れたいと思います。

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