日本酒のこと
「日本酒のこと」(30) 2023年6月号
2023年6月1日 日本酒のこと
日本酒の瓶には、表側に「多摩自慢」や「賀茂鶴」といった銘柄等を印刷した胴ラベルが、そして裏側には原材料名やアルコール分等を細々と記した裏ラベルが貼ってあります。なかには胴ラベルに全てを記載している場合があります。このラベルに記載された情報は、我々が酒販店等で自分好みの一本を選ぶ際の大きな判断材料を与えてくれるものです。
「日本酒のこと」(29) 2023年5月号
2023年5月1日 日本酒のこと
日本酒文化を酒蔵と二人三脚で支えているのが酒販店です。この酒販店を営むには、消費者への酒税の適切な転嫁等の観点から国税庁の免許が必要となります。そして、その酒販店の免許に際しては、20年少し前までは酒販店が過当競争で共倒れしないように、一店舗あたりの人口規模や隣接店との距離等について厳しい参入規制があったのです。
「日本酒のこと」(28) 2023年4月号
2023年4月1日 日本酒のこと
葡萄から醸すワインは、葡萄そのものに水分、糖分と酵母菌が含まれているため、葡萄を潰してタンクに入れるだけで自然に発酵します。その一方で、日本酒の場合は、米自体に糖分や酵母菌が含まれている訳ではないので、麴菌でお米を糖化した上で酵母菌を加えて発酵させる必要があることは、これまで何度も述べてきたところです。
「日本酒のこと」(27) 2023年3月号
2023年3月1日 日本酒のこと
俳句の歳時記の「古酒」とは、新茶に対する古茶と同じように新酒が出回る前に搾られたお酒のことです。一方、日本酒の世界では歳時記と異なり「酒造年度=BY(Brewery Year)」という概念があります。毎年7月1日から翌年の6月30日までを酒造年度としており、BY4とは令和4年7月から令和5年6月までの間に製造された日本酒のことであり、BY3はその前年度のお酒、つまり古酒であることを意味します。
「日本酒のこと」(26) 2023年2月号
2023年2月1日 日本酒のこと
海外での和食ブームと歩調を合わせて、日本酒の普及が徐々にですが着実に進展しています。そして、パリではフランス人が選ぶ日本酒コンテストが開催されています。純米酒や吟醸酒の他に発泡酒の部があり、昨年は山梨県北杜市の「七賢」が優勝しました。
「日本酒のこと」(25) 2023年1月号
2023年1月1日 日本酒のこと
日本酒は、ワインと同様に食事と一緒に呑む酒、つまり典型的な食中酒です。そこで、この欄においても日本酒と料理の相性について触れる必要がありますが、何分にも膨大なテーマであり、ここでは幾つかのポイントに絞って触れたいと思います。
「日本酒のこと」(24) 2022年12月号
2022年12月1日 日本酒のこと
酒母造りの肝は乳酸菌を生成することです。最も伝統的な方法が「生酛(きもと)造り」であり、これは「山卸(やまおろし)」と云いますが、小さな桶に入れた蒸し米と麴米に水を足したものを櫂で何日もかけて混ぜて磨り潰す大変に体力を要する作業を行います。これにより天然の乳酸菌が出来上がり、この乳酸菌のもとでは清酒酵母菌以外の雑菌は死んでしまいます。
「日本酒のこと」(23) 2022年11月号
2022年11月1日 日本酒のこと
9月号の麴米造りに続き、今回は清酒酵母菌と酒母造りを説明します。日本酒の造り方を知ったからといってお酒の味が良くなる訳ではありませんが、お酒ごとの香味の違い等の理解の一助になるとともに、何よりも造り手への感謝と敬意の念が湧いてきます。
「日本酒のこと」(22) 2022年10月号
2022年10月1日 日本酒のこと
この季節になると各銘酒蔵の「秋の冷やおろし」の銘柄が店頭を賑わせています。これは、その年の日本酒をタンクで貯蔵した後、火入れをせずに出荷したお酒のことであり、ほど良く熟成した丸みのある香味と火入れしないことによる新酒の持つ爽やかさを兼ね備えています。そして、これからは秋も深まり紅葉酒や温め酒の季節となります。
「日本酒のこと」(21) 2022年9月号
2022年9月1日 日本酒のこと
日本酒造りには「一麴(いちこうじ)、二 酛(にもと) 、三造り」と云われる最も重要な作業工程があります。「麴」とは蒸米を糖化する役目を持つ麴米造り、また「酛」とは糖分をアルコール発酵する酵母菌を増殖する酒 母(しゅぼ)造り、そして「造り」とは酒母、麴米、掛け米、水をタンク内に仕込む醪(もろみ)造りのことです。
「日本酒のこと」(20) 2022年8月号
2022年8月1日 日本酒のこと
日本酒の成分の八割は水です。それだけ水はお酒の香味に大きな影響を与えるものであり「名水あるところ銘酒あり」と云われる由縁です。酒造りに使う水は「仕込み水」と呼ばれ、主としてお米を発酵させる醪もろみタンクに投入しますが、それ以外でも蒸す前の浸米とか原酒のアルコール度数を下げるための加水等に使用されます。
「日本酒のこと」(19) 2022年7月号
2022年7月1日 日本酒のこと
申し上げるまでもなく日本酒の主原料はお米です。そのお米のなかでも純米酒や吟醸酒等の高品質の酒造りには「酒造好適米」が使用されます。その主なものは山田錦や雄町(お まち) 、美山錦(みやまにしき)、五百万石等であり、皆様も名前は聞いたことがあると思います。