はいかい万華鏡(16)
─脳の活性化にはコーヒーと新聞 ─
                                             蟇目良雨 

 館林高校3年生の時に60年安保闘争が起こった。私は地方の高校生でかつ大学受験を控え松葉杖をついた体の、とても東京の運動に参加する気力などないノンポリであった。樺美智子さんの悲しい死には憤りを覚えたがさりとて東京へ駆けつけることは出来なかった。当時の笠原校長が新聞記者である私の父に、「東京の騒ぎに惑わされずに勉学に励んでくれて有難かった」という趣旨の話をしたと父から聞かされたが、恥ずかしいことに安保に関する知識が無かっただけのことなのだった。学校によっては生徒が安保闘争に参加して大層心配したこともあったようだ。私は受験のために予備校に通うこともせず、仲間数人と数学教師の家で特訓をして貰ったことが唯一の受験勉強だった。その当時も塾などに通って備えた子供はいただろうが私には無縁であった。貧しかったからだった。
 館林高校はレスリングとサッカーが強かった。同級生に上武洋次郎君がいて早稲田大学から米国オクラホマ大学へ留学し、東京オリンピック・レスリング・バンタム級で金メダルを取った。2年生の時に教室で腕相撲を取って私が勝ったことがあり今では懐かしい思い出だ。同級生の河本君は地元で大きくなった建設会社の二代目で、自宅に行ったり来たりして勉強をした仲で彼は建築学科を卒業し家業を継いだ。
 父はやがて定年を迎え郊外の茂林寺のそばに終の棲家を構えた。平屋でトタン葺きのささやかな家であった。庭に四季の花を咲かせていて静かな余生を過ごした。
 そして私の東京での浪人生活が始まった。

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新聞を読む
 若い世代で新聞を読まない人が増えているそうだ。スマホがあれば最新のニュースを知ることが出来るという理由らしい。
 ある土曜日の朝、いつもの通り新聞を広げていると「朝の3杯 脳を切り替え」という記事に出くわした。脳の働きに悩まされている私は何事かと直ぐに読みだした。
 執筆者は脳科学者川島隆太さん。小さな囲み記事なので結論をここで書いても差し支えないと思うので書くが、結論は
 ①朝コーヒーを3杯一気に飲んで脳を活性化させる。
 ②脳の処理スピードを上げること、記憶容量を増やす。
ということだ。
②に有効な作業はいわゆる「脳トレ」。それも新聞記事の音読が一番効果的と推賞する。800字位の新聞記事を「可能な限り早く読む」と記憶力の水準が約1か月で50代から30代まで上がると実験で確かめたそうである。脳は柔軟なので、正しく刺激を入れると機能がよみがえるそうです。
 ファクトチェックがなされている新聞を読み、世の動向を大まかに確認する。そして社説など800字ほどの記事を「可能な限り早く読む」ことで脳をよみがえらせる。この2つを続けて後5年は主宰の責務を果たしたいと思う。