「俳句文法」入門 (72)
─── 俳句の文体「句切れ」について ─── 大林明彦
俳句特有の方法に句切れがある。間投助詞の「や」を切れ字と言い、それを使用して成立する俳句を二句一章の句と言う。松尾芭蕉のよく知られた句はこの形だ。「閑かさや岩にしみ入る蟬の声」「荒海や佐渡に横たふ天の川」「古池や蛙飛び込む水の音」下五が全て体言止めの点が特徴、簡潔な響きとなる。
台風や患者ひとりの診療所高井美智子
寒蟬や庫裏の柱に愛宕札角野京子
名月やがたごとと行く相模線木曾令子
青北風や咥へ莨の漁師たち小林黎子
春耕12月号より。や—体言止めの文体である。上五中七(初句二句)に句切れのないのを一句一章という。
竹伐つてあをき谺の生まれけり倉林美保
竹かごで夜店で売るは何の虫大石英子
仕舞湯にゆつたり浸る良夜かな斉藤やす子
蟷螂の果てて合はせる両の鎌中浜由志美
それらに対し、三段切れ、の手法もある。挑戦!
目には青葉・山ほととぎす・初鰹山口素堂
奈良七重・七堂伽藍・八重ざくら松尾芭蕉
初蝶来・何色と問ふ・黄と答ふ高浜虚子
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