四季の野鳥 (2)         
 四十雀(シジュウカラ)    勝股あきを 

 四十雀は四季を通して人目に触れる機会が多い野鳥である。『角川俳句大歳時記』では夏季に、博友社版『俳句月別歳時記』では2月(春)に、他の歳時記では秋になっている。バードウォッチャーの私にとっては、冬の森林で最も元気に飛び回っているのが四十雀だと思う。尤も冬には繁殖期の夏のような「ツツピー」を繰り返すのではなく、笹鳴の「ジュクジュク」という地声である。名前の由来を調べるとと柳田国男の説では、「から」は小鳥の総称で、地鳴きを「シジュウ」と聞きなしたのであろうという。「始終いるカラ類だからシジュウカラだ」という説もある。
老いの名のありとも知らで四十雀芭蕉
は秋の句として分類されている。近代の例句は
手をあげし人にこぼるる四十雀高浜虚子
山の杉は暗く愚直に四十雀森澄雄
かつ散らす庭の紅葉や四十雀正岡子規
初声の雀の中の四十雀青柳志解樹
若楓揺りつつ鳴くは四十雀水原秋櫻子
霜枯の湧水ちちと四十雀深見けん二
 何と四季に亘った例句が出て来て、四十雀を夏の季に限定するのは難しそうです。