先駆けの花一輪を自得とす
無傷なる空借景に夕桜
人集る闇に浮き立つさくらかな
地の騒ぎ空へつつ抜け夜の桜
照らされて紛ふことなき糸桜
野に下ろす緞帳のごと花木五倍子
棲む岩と見分けのつかぬ栄螺かな
春禽の来てゐることを声高に
佇めば語気を強めてちよつとこい
砂浜に残る一文字春惜しむ
いつまでも届かぬ句稿花は葉に