寄せて引く渚伝ひに冬来る
またもとの道に戻れば雪蛍
佇めばなほも声高残る虫
首の根を双手摑みに大根引
踏むよりも引き摺る音の朴落葉
冬鳥の声の単純一度きり
子の叫ぶ形そのまま雁渡る
出し抜けに音のしてより霰降る
流木を垣の支へに冬仕度
離るとも寄るともつかず笹子鳴く
網の目に鱗の乾ぶ年の暮
古暦書き足すことのなかりけり