何すると言ふこともなく年詰る
殊更のことはなけれど年惜しむ
門松の直立不動人正す
行き成りの三日の客の長居せる
残りものにまた火を加ふ松の内
出し抜けに玻璃戸がたつく鰤起し
鰤起し砂に喰ひ込む錆錨
鰤起し雲脚早し能登の沖
能登荒磯波の花咲く日和かな
浜風に波の花舞ふ千枚田
蛤に潮水を入れ砂吐かす
流木を置き去りのまま冬終る