棚山波朗名誉主宰 作品

落鮎の投網に雁字搦めなる
雨脚の急に早まる崩れ簗
出番待つ楽屋まる見え村芝居
落し水寝間の障子の半開き
とろろ汁啜り父母聲高に
向き合うてほどよき位置の菊人形
破芭蕉繕ふ術のなかりけり
                              句集『雁風呂』より

蟇目良雨主宰 作品

まだまだはもうすぐ墓を洗ひけり
ふるさとや流星のとぶ音のして
蟬のこゑ遠のく処暑の風のなか
朝顔の簾隠れに尼のこゑ
病む妻の唇に葡萄のひとしづく
哭き叫ぶガラスの街や野分晴
送り火の燠の瞬き出しにけり