棚山波朗名誉主宰 作品
通り過ぎてより風音の枯柏
吹かれ来しもの枯枝にまつはれり
岩頭に波砕け散る臘八会
闇汁や椀をはみ出すものばかり
塩鮭を吊したちまち海の荒
鰤起し一湾のもの総立ちに
縺れ来る影寄せつけず冬木立
句集『料峭』より
蟇目良雨主宰 作品
人はいつも何かに耐へて初紅葉
色鳥や心に妻を愛蔵す
蓮の実の飛び尽くしてや万事了
彼の岸へ旅立つ妻や暮の秋
新米の一膳飯をまぶしめり
冬に入るへげの煙の立ちのぼり
それからの心の門を冬構
- 2024年11月●通巻544号
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