蟇目良雨主宰 作品

三歳を生き永らへて御慶かな
見ゆるものみな美しや初景色
烏瓜真つ赤や余生たのしめと
平積みの古本濡るる秋時雨
色鳥に信濃は色で応へけり
      善知鳥峠
あぢさゐの枯がれ信濃分水地
見えてゐて遠き我が家や初時雨
月蝕のひそかに進む神の留守
古本を和紙で繕ふ一葉忌
綿虫の高さに妻のゐはせぬか
北颪木曾路は庇重ね合ふ
色街の風の荒さよ三の酉