蟇目 良雨 主宰 作品

        茂林寺
菩提寺も少子化盆の僧一人

      足弱となれば
考妣の肩にすがりて墓洗ふ
はらからはもう数人かな墓参り
迎火やしんがりを来る妻の影
祖父祖母は記憶のかなた魂祭
人ふえてかたぶきがちの瓜の馬
送り火や雨を嫌がる妻のゐて
熱帯夜テレビにパリー五輪燃ゆ
ちあきなおみ唄へば夜の火恋し
藤村忌豆腐をのどに詰まらせる
酒下げて友へ急げり初嵐
母の忌の生姜を炊けば透きとほる