蟇目 良雨 主宰 作品

初紅葉 
豊熟な桃が美味しや盤水忌
台風のたびに釘穴太くなる
世に離れ住む年月や初紅葉
欠品に安部公房や秋の書肆
木犀の香や孫娘恋に落つ
子規のこと虚碧のことを秋彼岸
無患子を貰ふてのひらやはらかし
なでしこの裂けて秩父の風の中
ゐるはずの人と語らふ良夜かな
わが屍焼くべく燃えて曼珠沙華
人影のふくらんでゐる花野かな
水澄みて関東平野よこたはる