蟇目 良雨 主宰 作品

鎌倉の遠くなりたる虚子忌かな
清明や死後の机上に何も無し
フリージア日記に掛けし電子錠(パ スワード)

   姉 妹
付合ひの淡し大根の花ほどに
初蝶や風のカーテン幾重にも
曲折の日々をあらはに蜷の道
汨羅(べきら)にてほどけぬやうに粽結ふ
心臓に電池埋め込み緑立つ
貌あげて草食む仕ぐさ野の捨蚕
井戸水を呑めば甘しよ余花の寺
夏来る墨書匂はせ古書の街
柏餅こころの疵のうすれけり