蟇目 良雨 主宰 作品

余生いま白玉ほどに安らけく梅雨菌ともしびいろをしてゐたり
水引の雨のひと粒づつ光る
全長をもて余しをり蛇の衣
馬の尾を振るたびはげし草いきれ
古書街を雨が洗へる紫陽花忌
火宅妻ひねもす毛虫焼くことを
炎天や杖も短き影法師
    ユネスコ世界文化遺産登録
道遊の割戸の吐くや雲の峰
白南風やまづまづ貸借対照表
妻は未だゐしかと仰ぐ天の川
星合の夜のしづかなる寝息かな