蟇目 良雨 主宰 作品

正装の始めや不二の綿帽子
太箸をほとけの妻に置きにけり
西鶴の女来てゐる酉の町
冬紅葉余生まだまだ面白し
新海苔を売る東京の風の中
切干や貧しき記憶糧として
京小春上ル下ルを繰り返し
枯菊になほある撓り括りけり
座布団のやうにむささび開き飛ぶ
立つてゐるままの箒や庭小春
盤水先生
師に見ゆ暗き廊下の障子開け
往時
転勤の地や角巻に馴染む母身を入れてこその愛憎葛の花