蟇目 良雨 主宰 作品

一陽来復夕日めらめら燃え尽きて
ボーナスの薄さを託つ妻なりき
貰ひ湯のやうにしづかな年湯かな
にぎやかに吃水深く宝舟
初景色庭の松葉に後光さす
喰積や一人となりて振出しに
葉牡丹の渦は家族のやうに密
悴む手すこし上げたる別れかな
遠ざかる昭和や重き蒲団また
下翅の収まりきれぬ枯蟷螂
焼鳥や部位のなんたらかんたらと
悴みし指が星座を象(かたど)れる