蟇目 良雨 主宰 作品

晦日蕎麦薬味に添へて能登の塩
泰然と富士あることの淑気かな
子の恩を受くる齢や去年今年
双六や鰥夫 (やもお)となりて振出しに
初東風や黄色ばかりの妻の供花
しなだれてくるものもあり切山椒
風花の間歇泉と混じりあふ
玄海の風の刺しこむ河豚雑炊
峠路は一日風や冬柏
本郷に残る明治や鳴雪忌
浮寝鳥見る東京に流れ着き
円覚寺山門を埋め落椿