蟇目良雨 主宰 作品

春節素戔嗚の口笛に似て虎落笛
初東風や黄色ばかりの妻の供花
やはらかな雨よ魚氷に上りけり
節分の鬼の泪の雨がふる
鱈汁や阿吽で決まるひそかごと
春節の旅人らしくよく喋り
春一番女が二人訪ね来て
凍解のふるさと捨てしことを悔ゆ
冴返る抱へる程の薬得て
初午の帰路や明星道づれに
菊坂の薄日に乗って初蝶来
晩年やしらじらと浮く夕桜

『俳壇』四月号掲載句含む