蟇目良雨 主宰 作品

涼し
炎天に会ふわがむすめ壮年期
風死すや濯げば僅か妻のもの
紙魚遊びをるや犀星発句集
止り木に足のぶらつく水中花
ふるさとの疎遠のままに草茂る
晩年を芭蕉を読んで涼しけれ
蚊を打つてあと三年は生きむかな
七月やすらりと父の夢に立つ
もてなしの西瓜や角のよく尖る
炎天や茫茫と見ゆわが山河
ひよろひよろと上がりどかんと大花火
昼寝して少し若さを取り戻す