蟇目良雨 主宰 作品

蒼鷹
一人欠けまたひとり欠け冬に入る

十一月十四日伊那男さん亡くなる
木曾駒ヶ岳のふところ目指せ蒼鷹(もろがえり)
鮞やみちのくは父母産んだる地
枯菊を焚き一握の灰残る
妻ほどに娘を頼る零余子飯
目の玉を洗ふや勤労感謝の日

往時を偲ぶ 二句
網入り蜜柑貰ふ夜汽車の別れかな
乾鮭を日に日に削いで呉るる父
やがて死ぬ景色の見えて冬構
冬の夜や遺言の無きが恐ろしき
糸を引く雨の一日お茶の花
角打に伊那男の影が年忘