手で交すことば短し滝の前
半夏雨砂山の筋交はらず
摑みゐるものを放さず蟬の殻
風紋の尽きたるところ浜豌豆
簎の魚諸手摑みに海士浮上
竜宮の魚眼前に箱眼鏡
網の目に雑魚の干涸ぶ浜晩夏
行く夏の波に消さるる砂の文字
枝移る間を惜しむかに秋の蟬
蟬黙る残る力のなきままに
子別れの鴉に寄れば殺気立つ
人の手を離れ間引菜すぐ乾ぶ
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