「俳句文法」入門 (32)
─ 口語の文語表記についについて ─ 大林明彦
電話で質問があり、うれしいことであった。憤せずんば啓せずと孔子は宣った。本当に憤してほしい。憤とはふるいたつということ。文法は自得のみならず子や孫にも伝えられる財産。大切にしましょう。
「とりかえる、ということばを古文の表記にするととりかへる、でいいんですか?」という質問でした。
「いいんですよ、それで。え→へ、とすればいいんです。口語・現代語の導入を春耕では拒んではいません。作者の表記を大事にしています。少くとも蟇目編集長迄はそうでしたね。結社によっては全て直して文語(歴史的文法使用)に直す所もあります。とりかふ、又はとりかふる、と。駆ける、を、駆くる、と直されたら如何ですか?・・・以下略」文語か口語か、その混合語かは永遠の問題だろう。文語のもつ格調、深みと落ちつき、口語のもつ親しさ、軽みと分かりやすさ、それらをブレンドして美しい日本語の文体を生み出す、のが理想だろう、と今の所は思っている。
傘雨忌の路地ぬけてでる隅田川堀井より子
この句では口語的表現の「でる」が効いています。「ぬけていづ」と比較してどうでしょう。親近感は。
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