自由時間 (38) 2016年7月号
2016年6月21日 自由時間
新国立劇場で鄭義信(チョン・ウィシン)三部作が連続上演された。三月『焼肉ドラゴン』、四月『たとえば野に咲く花のように』、五月『パーマ屋スミレ』。 鄭義信は、脚本家、劇作家、演出家として活躍中である。その功績により二〇一四年に紫綬褒章を受章した。その受賞歴を見れば、優れた仕事をしていることが分かる。
子規の四季 (70) 2016年7月号 果物帖
子規は「果物帖」を画きはじめた。連日モルヒネを服用するほどの病苦をまぎらわすため、画帖に身辺の果物を写生しようと思い立ったのである。大好きな果物を、これも大好きな絵にすることは、子規にとって何よりの慰めになったことだろう。
衣の歳時記(76) 2016年7月号
─レース ─ 厳しい炎暑が始まる七月。日暮れても地面の火照りが体に纏わり、夏の真直中にいることを思い知らされる。若者たちといえば、海やキャンプ場で伸びやかに盛夏を謳歌する。
伊勢物語のおもしろさを読む (24) 2016年7月号
2016年6月27日 古典に学ぶ
東国章段に続く十六段に登場する紀有常 むかし、紀の有常といふ人ありけり。三代のみかどに仕うまつりて、時にあひけれど、のちは世かはり時うつりにければ、世の常の人のごともあらず。
俳句時事(170) 作句の現場 「山葵の花」2016年6月号
山葵の花は夏の季語だが、実際に咲き出すのは三月の終り頃からである。春の寒さの残る山裾や渓流に開いた四弁の花は、いかにも清々しい。 山葵の学名は、Wasabia・Japonicaという日本名を持つ日本独特のspiceである。この野生の山葵は古くから海外でも上流社会の人に香辛料として珍重されて来たようだ。